ヘルスリテラシーって何?
「ヘルスリテラシー(health literacy)」とは平易に訳すと、「必要な健康・医療情報を手に入れ、理解し、効果的に利用する能力」といえ、これは医療従事者のためだけの能力ではなく、患者あるいは国民全体に関連するテーマです。
例を挙げると、医療従事者が恣意的な研究報告に踊らされないのもヘルスリテラシーであり、患者が処方箋の指示内容を理解するのもヘルスリテラシーの一つです。
実は日本人のヘルスリテラシーは諸外国と比べて低いと言われています。
ではこのヘルスリテラシーを向上させるためにどんなことに注意すれば良いのでしょうか。
まず情報を入手するときにできるだけ「正確な医療情報を入手」する。
人間は自分の気持ちを代弁してくれている情報を正しい情報と思い込み、さらにそれを自分なりの解釈で味付けして拡散するという生き物です。
また、個人の体験談は迷信を作りやすい傾向にあります。
そして情報を入手した後、その内容を「正確に理解」しなければなりません。
情報の提示のされ方で受け取る側の印象が変わることは多々あります。
理解した後はその情報が「本当に信頼できるものか評価」する必要があります。
情報の信頼性をはかる方法の一つが、その情報がどのような方法で導き出されたものか調べることです。
医療での共通認識として「ランダム化比較試験」によって有効性が証明されていることが必要です。
しかし、最も信頼性の高い情報に基づく予防法や治療法であっても、効果が100%というわけではありません。残念ながら効果のある人とない人が出てくるのが現実です。これを医療の「不確実性」と言います。
つまり、ヘルスリテラシーを鍛えるためには健康情報には必ず不確実性が伴うことを知り、信じたくなかったものも受け入れる余地をどこかに残して決断・行動の意思決定をすることが必要なのかもしれません。
ここまで長文読んでいただきありがとうございました。この文章が皆様の日常生活の一助となれば幸いです。
【参考文献】
1)Sørensen K, et al. Health literacy and public health: a systematic review and integration of definitions and models. BMC Public Health. 2012;12:80
日本語訳:http://www.healthliteracy.jp/kenkou/post_20.html
2)Nakayama K, et al. Comprehensive health literacy in Japan is lower than in Europe: a validated Japanese-language assessment of health literacy. BMC Public Health. 2015;15:505
3)Duong TV, et al. Measuring health literacy in Asia: Validation of the HLS-EU-Q47 survey tool in six Asian countries. J Epidemiol. 2017;27:80-86.
4)健康を決める力「日本人のヘルスリテラシーは低い」(http://www.healthliteracy.jp/kenkou/japan.html)
5)東京都「健康と保健医療に関する世論調査」(平成28年10月実施)http://www.metro.tokyo.jp/tosei/hodohappyo/press/2017/03/07/01.html
小山田歯科医院